既存のメディアと一線を画す、新たな視点でフットボールを切り取るカルチャー雑誌5選

既存のメディアと一線を画す、新たな視点でフットボールを切り取るカルチャー雑誌5選

Words by Yuto Suzuki

フットボールは世界中どこにでもあり、それぞれの場所で、それぞれの文化が存在し人々を繋げるツールとして機能しています。ピッチ上での90分間にとどまらないのがフットボールの魅力であり、各国、各クラブ、各人それぞれが持つエモーショナルなストーリーに私たちフットボールファンは惹かれるものです。ここでは既存のメディアには見られない、オルタナティブな視点で切り取られたフットボール雑誌を紹介しようと思います。

 

Geggen press

 

 

今や広く浸透している高強度のプレースタイルをタイトルとした、ドイツ・ベルリンを拠点にするフットボールマガジン”Gegen presse"

ゲーゲンとはドイツ語で「対立」「反対」を意味する言葉ですが、従来のサッカーメディアとは一線を画すことを目指し、時代を超えたコンテンツに焦点を当てあまり知られていないサッカー界のストーリーを伝えています。新刊の第2号ではパリ郊外に本拠地を構えるレッドスターFCのクリエイティブディレクター、David Bellionへのインタビューを始め、あらゆる色、性別、ルーツを持つ人々を結びつける幻のクラブ、DarwinFCの特集、ボヘミアンズFCダブリンとその素晴らしいコミュニティ活動についての特集記事などを紹介しています。

Issue 1、Issue 2ともに500部の限定販売ですが、現在も公式サイトにて購入が可能です。

 

GLORY

 

 

GLORYは、「美しい試合の中の "美しさ" を取り戻す」ことを理念としたサッカーと旅をテーマにした雑誌です。サッカーへの情熱を持つデザイナー、ライター、フォトグラファーのチームによって制作され、最も遠く、エキゾチックな珍しい場所でのオルタナティブなサッカー文化に焦点を当てています。

パワフルな写真と、クリーンでエレガントそしてモダンなデザインで、第1号では、美しいゲームを目撃できる最も素晴らしい景観のひとつであり、最も情熱的でサッカーを愛する国のひとつであるフェロー諸島を特集しています。フェロー諸島で唯一プレミアリーグに出場した選手であるグンナー・ニールセンの独占インタビューや、彼の妻がズラタン・イブラヒモビッチを嫌っている理由などが掲載されています。

 

GAFFER

 

 

長年の友人同士であり、共にロンドンで生まれ育ったJordan WiseとHamish Stephensonが立ち上げたGAFFER。雑誌の構想を練る際「コーヒーテーブルに置いて自慢できるもの」であることが重要だと考えていたこともあり、高級感のある作りとなっています。

誰もが知るスーパースターに焦点を当てず、自身のユースカルチャーの知識や新進気鋭のタレントを発掘する能力を活かし、次世代のイギリス人フットボーラーやミュージシャンを紹介しています。豪華なファッション・シューティングで彼らを撮影し、才能のある若者が地道な努力を重ねて築き上げた、ポジティブで情熱的なユースカルチャーの姿を映し出しています。

OOF

 

 

ロンドンを拠点とするOOFは、アートとサッカーの関係を探求する新しい雑誌です。サッカーとアートは何世紀にもわたって絡み合ってきましたが、OOFはその関連性について少しばかり解きほぐそうとしています。創設者で編集を務める Eddy Frankel は OOFを読むべきターゲット層は?という質問に対しこう答えています。

「サッカーを使ったアートのほとんどは、サッカーについてではなく、貧困、暴力、情熱、信念、コミュニティなど、社会のあらゆる象徴としてサッカーを使用しているだけです。だから、OOFは広い意味でのアートに興味がある人たちのための雑誌だと思うんだ。アートはニッチで排他的、サッカーは地球上で最も人気のあるスポーツです。この2つの間のグレーゾーンを語ることで、OOFがスポーツの中に美を見出し、サッカーファンのためにアートへの扉を開くことができればと願っています。」

Eight by Eight Magazine

 

 

最後に紹介するのはニューヨークを拠点とするEight by Eight。高さ8フィート、長さ8ヤード」のゴールポストの大きさを由来とする、ページをめくるのが楽しい大胆なデザインが特徴の大判の雑誌です。

アメリカの新興チームが持つポテンシャルや、ヨーロッパの名門クラブが持つ伝統など、サッカー界を代表するチーム、コーチ、選手、そしてそのストーリーに焦点を当て、毎号100ページにわたり、世界のサッカーに関するオリジナルのジャーナリズムが掲載されています。優れたジャーナリズムと、アグレッシブでモダンなデザイン、最高のイラストと写真を通じて、これらのストーリーを伝えることを目的としています。

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「サッカーしか知らない者は、サッカーすら知らない」とは元ヴィッセル神戸の監督で、現在はマンチェスターシティでアシスタントコーチを務めるファンマ・リージョ氏の言葉です。

サッカー雑誌といえば、戦術や戦略、試合の統計や選手のスキルなど、ピッチ上で起きていることにフォーカスされるのが一般的で、それらはサッカーが持つ素晴らしい要素であることに間違いありません。

しかしながらピッチ上の90分間が全てではなく、ファッションや音楽、アートなど、ピッチ外の視点からサッカーを紐解こうとするこうした雑誌には「サッカーとは何かを知る」手掛かりがあり、このスポーツが持つ奥深さを改めて思い知るきっかけが潜んでいます。

紹介した雑誌は全て英語で書かれていますが、新たな視点からサッカーに触れてみたいという方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

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