ワールドカップを彩った歴代の名曲たち

ワールドカップを彩った歴代の名曲たち

Words by Yuto Suzuki

W杯が近づくにつれ、聞き返したくなるあの曲。4年に1度のビッグイベントに向けムードを高めるため、ここではいくつかの歴代W杯ソングをピックアップしプレイリストとともに紹介することにしました。1962年のチリ大会を皮切りに数多くのW杯ソングが誕生してきましたが、あなたのお気に入りの一曲といえば…?W杯まで残り半年、今大会ではどんな名曲が生まれるのか、今から楽しみでなりません。

 

 

TOGETHER NOW / JEAN MICHEL JARRE & TETSUYA "TK" KOMURO (1998 フランスW杯)

フランスが誇るシンセサイザー・ミュージックの巨匠JEAN MICHEL JARRE と日本を代表するアーティスト”TK”こと小室哲哉が共演。1998フランスW杯公式テーマソングとして発表したTOGETHER NOWは、これこそTKサウンドの極みといわんばかりの攻撃的なサウンドで、パワーを感じるトランス曲だった。

 

タマシイレボリューション / Superfly(2010 南アフリカW杯)

W杯のテーマソングといえばで真っ先に挙がる一曲で、いつになっても色褪せない、パワフルでソウルフルなロックチューン。最初から最後まで全快、テンションを上げたい時に聞けば間違いない名曲。

 

NIPPON / 椎名林檎 (2014 ブラジル大会)

NIPPONのコメント映像で椎名林檎は「勝ちにいきたいというサッカーだけじゃない、人生において厳しい勝負の時に絶対に勝ちに行く、楽しみにいく…その全てを込めるしかないんだと。それぐらい重要なミッションとして取り組んだ」と語った。日本人だけしか持ちえない確かな "青い誇り" を美しい言葉選びで歌い上げた燃える一曲。

 

WAKA WAKA  / SHAKIRA (2010 南アフリカ大会)

アフリカ大陸の活気とポジティブさを完璧に表現した一曲。だがこの曲が世界的な人気を博した最大の理由は、おそらくシャキーラがこの曲の為に創作した独特のダンスにある。数年前にはショートムービープラットフォーム「TikTok」でも同曲が使用され、地元コロンビアの「チャンペータ」というダンスとともに"踊ってみた動画"として世界的なブームとなった。

 

COPA DE LA VIDA / RICKY MARTIN (1998 フランスW杯)

プエルトリコ出身の歌手リッキー・マーティンの代表曲「コパ・デ・ラ・ビダ」はスペイン語のサンバをルーツとするラテンポップスで、サッカーが持つメッセージをポジティブな歌詞で伝えた。複数の出版社から歴代最高のワールドカップアンセムにランク付けされ、60カ国以上のチャートにランクイン、30カ国で1位を獲得するなど世界で最も商業的に成功した曲の1つとされている。さらに1999年のグラミー賞でのパフォーマンスは大喝采を浴び、ジョージ・W・ブッシュ大統領就任式でも同曲を披露、複数のメディアから「史上最高の就任式パフォーマンス」の一つと呼ばれた。世界デビューして以来、この曲のエネルギーに匹敵するワールドカップ・アンセムは他にないだろう。

 

ANTHEM / VANGELIS (2002 日韓W杯)

ブレードランナー、天国と地獄などで知られるヴァンゲリスが 2002年の日韓大会公式アンセムとして書き下ろした一曲。フルオーケストラ、シンセサイザーなどいくつかのバージョンがあり、あの日本テクノ界の司令塔、石野卓球もリミックスした。

 

SONG 2 / BLUR (1998 アメリカW杯)

 

ブリットポップの作風から一転、USインディーロックのようなサウンドで作られた「Song2」。イギリスのオルタナティブバンドBlurの代表作は、NirvanaやPearl Jamなど90年代のアメリカで人気だったグランジロックのパロディで、特に歌詞に意味は込めていないという。曲名に関してもアルバムの2曲目だから、演奏時間が2分2秒だからなど、様々な説が存在。UKチャート最高2位、アルバム「Blur」の2曲目であることなど、偶然なのか狙っていたのか、2という数字と恐ろしいほど縁があるというトリビア。ワールドカップの公式ソングとしてではなく、この曲が使われたのは人気サッカーゲームFIFAシリーズの「FIFA 98 Road to world cup」。今や世界中のスポーツシーン(ユベントスのゴールソングやNHLホッケーのゴールシーンなど)で流れる一曲となっている。

 

WAVING' FLAG / K'NAAN ( 2010 南アフリカW杯)

一見明るく希望に満ちた曲にも思えるが、この曲にはいくつかのバージョンがあった。私たちがよく耳にしていたのは、W杯のテーマ曲としてアレンジされたコカ・コーラバージョンで、原曲はそれほどポジティブといえる内容でもない。ソマリア出身のラッパーK'naan(ケイナーン)が歌っていたのは内戦が続く祖国の混乱と暴力だった。

 

WORLD IN MOTION / NEW ORDER (1990 イタリアW杯)

ニュー・オーダー。Joy division を前身とする、最もダークな音楽を作り出したバンド。イアン・カーティスが悲劇的な死を遂げ、新たな名前で再出発を余儀なくされたバンド。"愛が世界を動かしている/それが本当だなんて信じられない…" World in Motion のアイデアは、サッカー協会のプレス担当者であるデイヴィッド・ブルームフィールドが、1989年に「Best and Marsh」というテレビ番組(サッカーの巨匠ジョージベストとロドニーマーシュが思い出を語るという内容)を見ていたことから生まれた。このレコードでボーカルを担当しているのは、ピーター・ビアズリー、クリス・ワドル、デス・ウォーカー、スティーブ・マクホマン、ポール・ガスコイン、ジョン・バーンズ…。初めは参加することに乗り気ではなかったものの、リヴァプールのレジェンドでもあるバーンズは最終的に曲の途中でラップパートを担当。この曲はニュー・オーダーにとって唯一のヒットとなり、ジョイ・ディビジョン時代から所属していたレーベル、「ファクトリー」からリリースされた最後のシングルとなった。

 

EL ROCK DEL MUNDIAL / LOS RAMBLERS (1962 チリW杯)

この曲が全ての始まりだった。ロス・ランブラーズがいなければ、ワールドカップの為に作られた曲の数々は生まれていなかったかもしれない。ランブラーズは、50年代後半にサンティアゴで結成されたジャズ&ロックのバンドで、いわゆる「ニューウェーブ」と呼ばれるチリのグループ。エルヴィス・プレスリーの「All Shook up」を彷彿とさせる軽快なメロディで、チリの象徴的バンドはこの45RPMのシングルを当時の記録となる約90万枚を売り上げることに成功した。

 

THREE LIONS / LIGHTNING SEEDS (1998 フランスW杯)

It's Coming Home!! 今大会こそフットボールの母国に栄光をもたらすことは出来るのでしょうか。今や英国にとどまらず、全世界のフットボールファンに馴染みのある一曲になった「Three Lions」。1996年欧州選手権がイングランドで開催されるのを記念して、Lightning Seedsのイアン・ブロウディが曲を、コメディアンのデイビット・バディール、フランク・スキナーが歌詞を書いたテーマソングは、UKチャートで堂々の1位、98年フランスW杯の際には歌詞を変更してリリースし、これまた1位を獲得した。

 

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