サッカー界における象徴的なタトゥー愛好家たち#3

サッカー界における象徴的なタトゥー愛好家たち#3

Words by Yuto Suzuki

タトゥーを入れる理由は単に身体を美しく見せたいからという人がいる一方で、その行為は皮膚を冒涜するもの、タブーであると考える人もいるだろう。現代のフットボーラーは、おそらくタトゥー最大の支持者である。多くの選手がいくつかのタトゥーを身体に纏いピッチを駆け抜ける光景は、もはや一般的といえるからだ。タトゥーに込められた想いは選手各々で異なり、人生の節目となる出来事を表すこともあれば、特別な人へのオマージュとして刻まれていることもある。今回は第3弾、フランスで影を潜めるアルゼンチン代表ストライカーから、伝説の”頭突き事件”を起こした元イタリア代表DFまで、象徴的な5名のタトゥー愛好家を紹介します。

 

マウロ・イカルディ / Mauro Icardi

 

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一人目はインテルでキャリア絶頂期を過ごし、フランスに渡ってからはMNM(メッシ、ネイマール、ムバッペ)の強力トリデンテの前に影を潜めるアルゼンチン代表ストライカーだ。

彼のタトゥーについて触れる時、私たちはサッカー界を代表する泥沼の三角関係を引き合いに出さなければならないだろう。マウロの身体には妻であるワンダナラと5人の子供の肖像画が彫られているが、左上腕に描かれた3人の天使と名前(Valentino, Constantino, Benedicto)はワンダナラとその元夫であるマキシ・ロペスの間に授かった子供たちを表している。マキシ・ロペスはイカルディのかつてのスターで元チームメイトだったこともありお互いを慕っていたが、イカルディがワンダナラと不倫関係を持ったことで犬猿の仲となった。

マキシロペスの握手拒否、イカルディとワンダナラの度重なる離婚報道など、長きに渡る一連のストーリーについてはいつか触れるとして、ここではマウロがただ素晴らしいタトゥーを持つこと、そして、狙いを定めたら決して外すことのない、”生粋のストライカー”であること、を伝えておきたい

 

エデルソン・モラエス / Ederson moraes

 

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二人目はマンチェスターシティのブラジル人ゴールキーパーだ。ベンフィカから加入して以降、ボールを扱う技術とその配給で新時代のトレンドセッターとなったエデルソン・モラエスはタトゥー愛好家としても知られている。首を覆うバラと骸骨のタトゥーをはじめ、ユニフォームを脱げば印象的なタトゥーがあちらこちらに刻まれていることに気付く。身体の30%を占めるというそのタトゥーには家族の名前を彫ったものだけでなく、宗教的なアイコンや自然、絵文字、時計、銀食器などが施されている。

 

リカルド・クアレスマ / Ricardo Quaresma

 

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殺人、特定ギャングへの所属関係、自身の犯罪歴など、かつてリカルド・クアレスマの頬に刻まれていた涙のタトゥーは裏社会では大きな意味を持つという。日本ではあまり馴染みがなく、海外の著名人が入れているのをたまにみかけること(ラッパーのリル・ウェインやバスケットボール選手のアマーレ・スタウダマイアーなど)があるが、もしそれがリカルド・クアレスマの涙のタトゥーに隠されていた真実だとしたら、彼の突破を止めたいと思うディフェンダーはそういないはずだ。

かつてリカルドと一緒にレストランの経営をしていた兄アルフレッドが会社の資金に手をつけたことで、家族は崩壊し、その悲しい記憶を刻むため涙のタトゥーを入れたという噂が出回ったが、これは当時本人がSNSで否定しており、その真相はいまだ謎に包まれている。

 

デレ・アリ / Dele Alli

 

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トッテナムで奮闘を続けるイングランド人ミッドフィルダーもまた、タトゥーを愛する選手の一人だ。彼の身体にはネイマールやオーバメヤンなどといった選手と同じく、アニメキャラクターのタトゥーが多いことでよく知られている。アメリカの人気コメディ「Family Guy」の人気キャラクター、ステューウィーをはじめ、Netflixの人気番組「リック・アンド・モーティ」、1961年から1967年まで日本でも放送された「原子家族フリントストーン」、お馴染みスーパーマリオのタトゥーなどが彫られている。

イングランド3部からスターダムにのし上がり、一躍世界のトッププレイヤー入りかと思われたデレ・アリ。彼に何が起きたのかは、才能を見込んでいたあのサー・アレックス・ファーガソンも分からず仕舞いだ。ピッチ外でもファンを魅了できるのは彼の魅力の一つだが、多くの人はゴールを決めトリッキーなハンドジェスチャーと、フォートナイトのセレブレーションをキメる彼の姿を待ち望んでいることだろう。

 

マルコ・マテラッツィ / Marco Materazzi

 

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マルコ・マテラッツィは厳しいタックルとタイトなマーキングなど、アグレシッブなプレースタイルで有名な元イタリア代表DF。現役時代のカードの多さ同様、身体に刻まれたタトゥーの数も膨大だ。3足のナイキ エア ジョーダン 1 のタトゥー、マルチカラーのダイヤモンド、大きなドラゴンと花、骸骨の山、背中に生えた2つの羽。良くも悪くも彼の攻撃性が垣間見える、自分の好きなものをありったけ詰め込んだカラーに富んだコレクションだ。

 

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