海外サッカークラブの応援歌・テーマソングを知る#プレミアリーグ編

海外サッカークラブの応援歌・テーマソングを知る#プレミアリーグ編

Words by Yuto Suzuki

脳裏に焼き付いて離れないあの応援歌。あの曲ってそもそも何の曲?スタジアムからの帰り道、家に帰った後もサポーターの一員になった気分で思わず口ずさんでしまう。そんな記憶が、フットボールファンなら誰しも一度はあるはず。よく知る定番チャントから世界最古のフットボールソングまで、今回は 21/22 プレミアリーグ全20クラブの代表的な応援歌・テーマソングをプレイリストとともに紹介。

 

 

 

Blue Is The Colour チェルシー / Chelsea

 

 

"Blue is the color" は1972年、英国のインディペンデント・レコード・レーベル "Penny Farthing Records" よりリリースされたテラスチャント。英国では最も有名なフットボールソングの一つとしても知られ、日本でもJ2モンテディオ山形が凱歌として採用している。映像の中で選手たちが歌う様子は1972年、ストークシティとのリーグカップ決勝にて撮影されたもの。

 

You"ll Never Walk Alone リヴァプール / Liverpool

 

 

1945年、アメリカの作曲家リチャード・ロジャースと、同国作詞家のオスカー・ハマースタイン2世によって生み出された言わずとしれた名曲。もともとはミュージカルの劇中歌として制作されたものだが、リヴァプール出身のロックバンド、ジェリー&ザ・ペースメイカーズが1963年にシングル曲としてヒットを果たすと、すぐにリヴァプールのアンセムとなった。セルティック、ドルトムント、トゥヴェンテ、クラブ・ブルージュ、FC東京など世界中数多くのクラブが採用している。

 

Blue Moon マンチェスターシティ / Manchester City

 

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30年以上シチズンに愛され歌われ続けているこの曲は、長年数多くのアーティストによってカバーされてきた。中でもアメリカのドゥーワップグループ "The Marcels" が1961年にリリースしたカバーレコードは、100万部以上を売り上げ、ゴールドディスクを受賞している。ちなみにブルー・ムーンとは極めて稀な現象で、一般的に「カレンダーでのひと月の間に現れる、2度目の満月」と定義される。

 

Glory Glory Man United マンチェスターユナイテッド / Manchester United

 

 

"Glory Glory" はイギリスのフットボールや他のスポーツシーンで歌われるテラスチャントで、アメリカ南北戦争の歌 "The Battle Hymn of the Republic"(リパブリック賛歌)が原曲となっている。"Glory Glory Man United" はマンチェスターで結成されたイギリスのビートロック&ポップスグループ "Herman's Hermit" のメンバーだったフランク・レンショーによって作詞された。実際に本拠地オールド・トラフォードで流れているのは、2007年にマンチェスター出身のポップグループ"The World Red Army"によって作られた第2版。その時のチームを反映して歌詞を一部変更しているため、まもなく次のバージョンが出るのかも。ロナウドも帰ってきたことだし。

 

We're By Far The Greatest Team アーセナル / Arsenal

 

 

アーセナルの定番チャント。英国ではお馴染みで他クラブのファンも歌うが、実際のところ "かつて見たことのないような偉大なチーム" をガナーズのファンは見ている。アーセン・ヴェンゲルが03/04シーズンに作り上げた"インビンシブルズ"は、まさに「偉大」と呼ぶのにふさわしかった。

 

When the Saints / Spurs Go Marching In   サウサンプトン / Southampton トッテナム / Tottenham

 

 

 "When the Saints Go Marching In" 日本では98年に放送されていた金曜人気ドラマ「聖者の行進」のテーマ曲として知られている。起源はスピリチュアル(黒人霊歌)に発するが、ゴスペル・ジャズバンドが演奏することが多い。サウサンプトンのアンセムとして採用され、またこの曲はスパーズの有名なチャントとしてもよく知られている。新スタジアム移行後も歌われているが、よりコンパクトであったホワイト・ハート・レーンで生まれる荘厳な雰囲気を好む人は少なくないだろう。

 

I'm Forever Blowing Bubbles ウェストハムユナイテッド / West Ham United

 

 

"I'm Forever Blowing Bubbles" は、1918年にアメリカの作曲家ジョン・ケレットによって制作された曲。初めてサポーターによって歌われた起源については、そのほとんどが謎と憶測に包まれているが、採用されてから数十年が経った今でも、この曲とクラブは伝統的に強く結びついている。歌詞を見るとかなり感傷的である為、何故これがサッカークラブのアンセムとなったのかは疑問だが、これもファンチャントで長い間有名であったクラブが持つ、個性的な特徴といえるだろう。曲名にもあるように、ホームゲームで無数のシャボン玉が飛び交う様子はお馴染みの光景だ。映像はイギリスのパンクロックバンド "Cockney Rejects" のヒットカバーバージョン。

 

When you're smiling レスターシティ / Leicester City

 

 

"When you're smiling"「君微笑めば」は、マーク・フィッシャー(Mark Fisher)とジョー・グッドウィン&ラリー・シェイ(Joe Goodwin & Larry Shay)による1928年の共作。「君が笑顔になれば、世界中が君と一緒に笑顔になる」といったシンプルでありながらもその単純さが心地よい、世界恐慌の時代に愛されたポピュラーソングだ。プレミアリーグ制覇の功労者であり、クラブの元会長ヴィチャイ・スリヴァッダナプラバ氏が墜落事故によって亡くなった際も、本拠地キングパワースタジアムにはこの曲が鳴り響いた。

 

Z Cars Theme エヴァートン / Everton  ワトフォード / Watford

 

 

1962年1月に始まった、ランカシャー州にある架空の機動隊の活動を描いたBBCのTVシリーズ「Z-Cars」そのテーマ曲をクラブアンセムとして採用しているのがエヴァートンとワトフォードだ。前者で採用されるようになった背景には、1962年11月にZ-Carsの俳優であり、生粋のエヴァートンファンであったレナード・ウィリアムスが悲劇的な死を遂げたことにある。翌年クラブがリーグ制覇を成し遂げると、サポーター間ではウィリアムスを偲んでこの曲が採用されるようになった。

Hi Ho Silver Lining ウォルヴァ―ハンプトン / Wolverhampton Wanderers 

 

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1967年、アメリカの作詞家スコット・イングリッシュとラリーワイスによって書かれた "Hi ho Silver lining" 日本で3大ギタリストの一人として数えられるジェフ・ベックのカバーバージョンは最も有名で、彼最大のソロヒット曲にもなっている。ファンは「Hi ho Silver lining」の掛け声部分を「Hi ho Wolverhampton」と差し替え歌うが、Silver liningとは「希望の兆し」比喩的にいえば、どんな困難にも希望はあるといった意味になる。フットボールの世界に置き換えれば、「たとえ負けても次の勝利が必ずある」といったところだろうか。

 

Marching On Together リーズユナイテッド / Leeds United

 

 

"Marching On Together" はイギリスの作詞家レス・リードとバリー・メイソンによって1972年にリリースされたオリジナル曲。歌詞にもある通り、ファンは浮き沈みを経験しながら、多くの苦難を共に乗り越えてきた。主力や若手有望株の度重なる放出、慢性的な財政難。一時はリーグワン(3部)でもプレーした。昨シーズン、名将ビエルサのもと実に17年ぶりにトップフライトに返り咲いた古豪リーズ。シーズンを通して無観客での開催となったのは残念だが、チームは一桁順位の9位でフィニッシュした。迎えた今シーズン、本拠地エランド・ロードには1年越しの観戦を待ち望んだファンの声が響いている。

 

Sussex By The Sea ブライトン / Brighton

 

 

イングランド南部サセックス州には ”We Wunt be druv" という非公式の郡標語があるというが、これはサセックスの方言で、「私たちは追いやられない」という意味。過去何世紀にもわたって、サセックスの人々が強い意志を持っていたことは "Sussex By The Sea" 歌詞中にも反映されている。

 

Glad All Over クリスタルパレス / Crystal Palace

 

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1960年代に活躍したイギリスのロックバンド、デイヴ・クラーク・ファイブ(TheDC5)は、1968年2月に初めて本拠地セルハースト・パークで曲を演奏した。以降、"Glad All Over" はクラブのアイデンティティの一部となり、ホームゲームの試合前には熱狂的なファンによる大合唱が行われる。

 

Local Hero ニューカッスルユナイテッド / Newcastle United

 

 

14年という長きに渡るマイク・アシュリー政権がついに終焉を迎えたニューカッスルユナイテッド。一夜にして世界で最も裕福となったクラブのアンセムが "Local hero" だ。ニューカッスル・アポン・タイン出身のミュージシャン、マーク・ノップラーが手掛けた同曲は、1983年のイギリス映画「Local hero」のサウンドテーマ曲として知られている。

 

Don't Look back in anger アストンヴィラ / Aston Villa

 

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本来ここでもジェフ・ベックの ”Hi ho Silver lining” を挙げるべきなのだが、不思議なことにオアシスの名曲 ”Don't Look back in anger” は確かに歌われていた。さかのぼって2016年10月18日のレディング戦。1年以上勝利のなかったアウェイでの勝利を掴み、試合終了のホイッスルとともにスピーカーから流れ始めファンは熱唱した。過去に起こったこと、その過去を捨てること。つまり当時チャンピオンシップ(2部)にいたヴィラの場合、クラブのひどい管理体制と、この壊滅的な状況に対して反感を持ち続けないという考えが、サビ部分と重なりファンの心に響いたのだ。実際、シティファンのリアムはこのことを知っていたのか、サリーが何を待ち続けていたのかは知らないが、ファンは新たなテーマソングを求めているに違いない。

 

No Nay Never バーンリー / Burnley

 

 

熱狂的なファンベースを持つことで知られるバーンリーFC。ブラックバーン・ローバーズとのライバル関係は、サッカー界で最も熾烈な関係の一つとされてきた。マッチデーには激しくやり合い、時には残酷に。勝利が全てであり、目的を達成するためにはどんな手段も必要とされる。1970年初期から頻繁に歌われてきた、アイルランド民謡 "Wild Rover" を脚色した "No Nay Never" はそんなライバルに向けた煽りチャントだ。

 

Hey Jude ブレントフォード / Brentford

 

 

 1947年5月以来のトップリーグの試合。クラブは17000人ものファンをグラウンドに迎え入れ、1年以上ぶりの満員のスタジアムで選手たちはプレーした。チームがフィールドに出てくる前に、ブレントフォードのPAシステムからビートルズの名曲 "Hey Jude" が流れ、観客全員がそれに合わせて歌い、プレミアリーグのグラウンドに戻ってきたことにファンは感動した。驚きなのはなぜリヴァプール出身の伝説的バンドの曲を採用しているか、誰もその理由を知らないということだ。

On The Ball City ノリッジシティ / Norwich City

 

 

世界最古のフットボールソングとして知られているのが、ノリッジシティのアンセム "On The Ball City" その始まりは、クラブが設立される数年前の1890年代にまで遡ることができる。アルバート・T・スミスはクラブの監督に任命される前に作曲をしているが、ノリッジシティのファンが何十年にもわたってこの曲を受け入れることになるとは想像もしていなかったはずだ。何故ならもともとこの曲はノリッチ・ティーチャーズやカレーズFCのために作られた曲で、地元のファンがスイフィアンズやノリッチCEYMSを応援する際に使用されたのである。実際にノリッジシティのファンに採用されたのはクラブが創立された1902年のことだった。

 

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