Words by Yuto Suzuki
脳裏に焼き付いて離れないあの応援歌。あの曲ってそもそも何の曲?スタジアムからの帰り道、家に帰った後もサポーターの一員になった気分で思わず口ずさんでしまう。そんな記憶が、フットボールファンなら誰しも一度はあるはず。よく知る定番チャントから世界最古のフットボールソングまで、今回は 21/22 プレミアリーグ全20クラブの代表的な応援歌・テーマソングをプレイリストとともに紹介。
Blue Is The Colour チェルシー / Chelsea
"Blue is the color" は1972年、英国のインディペンデント・レコード・レーベル "Penny Farthing Records" よりリリースされたテラスチャント。英国では最も有名なフットボールソングの一つとしても知られ、日本でもJ2モンテディオ山形が凱歌として採用している。映像の中で選手たちが歌う様子は1972年、ストークシティとのリーグカップ決勝にて撮影されたもの。
You"ll Never Walk Alone リヴァプール / Liverpool
Blue Moon マンチェスターシティ / Manchester City
30年以上シチズンに愛され歌われ続けているこの曲は、長年数多くのアーティストによってカバーされてきた。中でもアメリカのドゥーワップグループ "The Marcels" が1961年にリリースしたカバーレコードは、100万部以上を売り上げ、ゴールドディスクを受賞している。ちなみにブルー・ムーンとは極めて稀な現象で、一般的に「カレンダーでのひと月の間に現れる、2度目の満月」と定義される。
Glory Glory Man United マンチェスターユナイテッド / Manchester United
"Glory Glory" はイギリスのフットボールや他のスポーツシーンで歌われるテラスチャントで、アメリカ南北戦争の歌 "The Battle Hymn of the Republic"(リパブリック賛歌)が原曲となっている。"Glory Glory Man United" はマンチェスターで結成されたイギリスのビートロック&ポップスグループ "Herman's Hermit" のメンバーだったフランク・レンショーによって作詞された。実際に本拠地オールド・トラフォードで流れているのは、2007年にマンチェスター出身のポップグループ"The World Red Army"によって作られた第2版。その時のチームを反映して歌詞を一部変更しているため、まもなく次のバージョンが出るのかも。ロナウドも帰ってきたことだし。
We're By Far The Greatest Team アーセナル / Arsenal
アーセナルの定番チャント。英国ではお馴染みで他クラブのファンも歌うが、実際のところ "かつて見たことのないような偉大なチーム" をガナーズのファンは見ている。アーセン・ヴェンゲルが03/04シーズンに作り上げた"インビンシブルズ"は、まさに「偉大」と呼ぶのにふさわしかった。
When the Saints / Spurs Go Marching In サウサンプトン / Southampton トッテナム / Tottenham
I'm Forever Blowing Bubbles ウェストハムユナイテッド / West Ham United
When you're smiling レスターシティ / Leicester City
Z Cars Theme エヴァートン / Everton ワトフォード / Watford
1962年1月に始まった、ランカシャー州にある架空の機動隊の活動を描いたBBCのTVシリーズ「Z-Cars」そのテーマ曲をクラブアンセムとして採用しているのがエヴァートンとワトフォードだ。前者で採用されるようになった背景には、1962年11月にZ-Carsの俳優であり、生粋のエヴァートンファンであったレナード・ウィリアムスが悲劇的な死を遂げたことにある。翌年クラブがリーグ制覇を成し遂げると、サポーター間ではウィリアムスを偲んでこの曲が採用されるようになった。
Hi Ho Silver Lining ウォルヴァ―ハンプトン / Wolverhampton Wanderers
Marching On Together リーズユナイテッド / Leeds United
Sussex By The Sea ブライトン / Brighton
Glad All Over クリスタルパレス / Crystal Palace
Local Hero ニューカッスルユナイテッド / Newcastle United
Don't Look back in anger アストンヴィラ / Aston Villa
本来ここでもジェフ・ベックの ”Hi ho Silver lining” を挙げるべきなのだが、不思議なことにオアシスの名曲 ”Don't Look back in anger” は確かに歌われていた。さかのぼって2016年10月18日のレディング戦。1年以上勝利のなかったアウェイでの勝利を掴み、試合終了のホイッスルとともにスピーカーから流れ始めファンは熱唱した。過去に起こったこと、その過去を捨てること。つまり当時チャンピオンシップ(2部)にいたヴィラの場合、クラブのひどい管理体制と、この壊滅的な状況に対して反感を持ち続けないという考えが、サビ部分と重なりファンの心に響いたのだ。実際、シティファンのリアムはこのことを知っていたのか、サリーが何を待ち続けていたのかは知らないが、ファンは新たなテーマソングを求めているに違いない。
No Nay Never バーンリー / Burnley
Hey Jude ブレントフォード / Brentford
1947年5月以来のトップリーグの試合。クラブは17000人ものファンをグラウンドに迎え入れ、1年以上ぶりの満員のスタジアムで選手たちはプレーした。チームがフィールドに出てくる前に、ブレントフォードのPAシステムからビートルズの名曲 "Hey Jude" が流れ、観客全員がそれに合わせて歌い、プレミアリーグのグラウンドに戻ってきたことにファンは感動した。驚きなのはなぜリヴァプール出身の伝説的バンドの曲を採用しているか、誰もその理由を知らないということだ。
On The Ball City ノリッジシティ / Norwich City
世界最古のフットボールソングとして知られているのが、ノリッジシティのアンセム "On The Ball City" その始まりは、クラブが設立される数年前の1890年代にまで遡ることができる。アルバート・T・スミスはクラブの監督に任命される前に作曲をしているが、ノリッジシティのファンが何十年にもわたってこの曲を受け入れることになるとは想像もしていなかったはずだ。何故ならもともとこの曲はノリッチ・ティーチャーズやカレーズFCのために作られた曲で、地元のファンがスイフィアンズやノリッチCEYMSを応援する際に使用されたのである。実際にノリッジシティのファンに採用されたのはクラブが創立された1902年のことだった。
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