ワールドカップが生んだベストカット5選

ワールドカップが生んだベストカット5選

Words by Yuto Suzuki

4年に1度、何十億もの人々がピッチに釘付けになる1ヶ月。ワールドカップはサッカーの祭典であると同時に、選手と理容師にとっては自身のスタイルと創造性を披露する絶好の機会だ。ピッチ上での制約があるため、通常選手たちはユニークなヘアスタイルで大会を彩るが、時としてそれは彼らが決めたゴールよりも記憶に残ることがある。今回はこの世界的トーナメントが生んだベストカット5選を紹介する。 

 

ロナウド / Ronaldo

 

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2002年日韓ワールドカップ準決勝のトルコ戦。控え目に言っても世界中の誰しもがロナウドの額に現れた奇妙な三角形に驚きを隠せなかったと思う。しかしそれは彼が抱えていた足の怪我から人々の話題を移すための意図的な策略だったことを知った時、彼が「怪物」と呼ばれる本当の意味を理解できた気がした。ブラジルの漫画シリーズ TurmadaMônica Cascão というキャラクターに触発されたヘアカットについては、自身も「自慢すべきことではない」と嫌っていたことを公然と認め、ネイマールや多くの若いファンがこの髪型を真似たこともよく思っていなかった。たかがヘアスタイル、されどヘアスタイル、大五郎カットの裏側にはブラジル代表エースによる勇気のある行動があった。カメラを足から離し額に焦点を合わせたスーパープレーが、結果として母国にワールドカップを持って帰ることに繋がったのだ。

 

カルロス・バルデラマ / Carlos Valderrama

 

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111キャップを誇るコロンビアの最多キャッププレーヤーであり、3大会連続でワールドカップにキャプテンとして出場しているカルロス・バルデラマ。母国コロンビアではもちろん、ピッチ上での気丈な振る舞いで、ある世代のサッカーファンにとってカルト的な存在となっている。そんな彼を愛すべき理由はたくさんある。スタイル、インテリジェンス、飾り気のなさ、そして最後にライオンのたてがみのようなスクリューカールだ。それは強さの象徴であり、現役時代から60歳を過ぎてもなお、そのアイコニックな髪型を継続している。

 

タリボ・ウェスト / Taribo West

 

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1998年フランスW杯期間中、タリボ・ウェストが披露した奇抜なヘアスタイルは多くの視線を集めた。無造作に結ばれた緑の三つ編みは、誰もが出来るスタイルではないし、正直似合うはずもないこのスタイルを、ウェストはなぜか見事にやり遂げた。チームメイトや戦術的プランにほとんど関心を持たず、ただ自分のやり方でプレーしていたというピッチ上での振る舞いは参考になりそうにないが、その周りの目を気にしない自由気ままさが彼の名声と人気を高めたこともまた、紛れもない事実である。

 

クリス・ワドル / Chris Waddle

 

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1990年のワールドカップでイングランドがイタリアに遠征した時には、彼の髪の毛に全員が注目していた。頭頂部は太く、下部は巧みに染め上げられ、スリーライオンズのために左サイドを疾走する彼の姿は、まるで気ままなポニーの尻尾のように膨らんでいた。80年代に大流行したマレットヘアは今や「世界一ダサい髪型」と言われているようだ。再ブームは訪れるのだろうか。いやこないだろう。と思ったのだが流行は目まぐるしく変化している。リアーナやマイリ―サイラス、ゼンデイヤをはじめとしたセレブたちの間ではすでにブームが訪れており、オーストラリアではマレットヘアの祭典も行われているらしい。

 

レネ・イギータ / Rene Higuita

 

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レネ・イギータはエル・ロコ(狂人)の愛称で長年親しまれてきたが、彼ほどこのニックネームがふさわしい人物はいない。イギータに出来ないことはなかった。ペナルティキックやフリーキックを蹴り、常識外れのスコーピオンキックを発明しただけでなく、コカインに手を出し逮捕され、麻薬王パブロ・エスコバルと仲間になり、USA 94では誘拐事件に巻き込まれ刑務所にいたこともある。そんなデンジャラスなゴールキーパーだけあって、彼の豊かな髪の毛をバカにするのは考えものだ。長いカーリーヘアとトレードマークの口ひげは、ユニークで他に類を見ないものである。

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