Words by Yuto Suzuki
Photo by Yuto Suzuki
早朝のグラウンドで一日の始まりを大好きな仲間とサッカーでスタートさせる。できることなら、そんな素敵な習慣を味方につけて、わたし改革といきたいが、決して誰にでもできることではない。MYKFCは「早起きは三文の得」をチームコンセプトに掲げ、大人になった今でも、蹴って、散って、また集まって、を繰り返す。子供の頃に思い描いた「サッカー選手ごっこ」を大人になっても続けよう。そんな姿勢に感銘を受け、今回は代表のミヤケさんにお話を伺うことに。MYKFCがどのようにして素晴らしい「TEAMWORK」を築いたのか、チーム結成の理由から、ユニフォームに込められた想いまで、チームのあれこれをお届けします。
Q : ご自身とチームの紹介をお願いします
A : MYKFC代表のミヤケです。表参道で12年美容師を務め、32歳でフリーランス美容師、今は原宿で美容師をしています。2年前、「早起きは三文の徳」「じじいになるまで蹴ろう」をコンセプトに現在のチームを始動させ、4月から11月の期間、朝6時から8時の時間で世田谷公園でサッカーをしています。
Q : チームメイトの紹介をお願いします。選手はどのように集めたのでしょうか?
A : 現在のメンバーは30人近く。もともと一緒にサッカーをやっていた友人や、知人が多いです。交流の場でもあるし、情報交換の場でもあるので、今後も一生長く付き合っていくであろうメンバーだけで構成しています。美容師、アパレル、サービス業、職業もみなバラバラですが、基本土日に時間がとれない人をメインで集めています。平日にしか参加できない人たちからしたら、競技性をしっかりもってプレーできる限られた環境だと思います。毎回呼ぶ人数は15、6人で、先着順です。メンバーは4月から11月の間、MYKFCがいつ入るのか日程が分からないので、みんな楽しみに待ってくれているんですよ。
Q : チーム結成のきっかけ・チーム名の由来を教えてください。
A : メンバーの一人にケンタという仲間がいて、彼もまた朝の活動を楽しみにしてくれている一人でした。人一倍その思いは伝わっていましたし、活動終わりに「いつもありがとうございます」「今日も楽しかったです」と声をかけてくれたことも印象に残っています。
そんな彼が家族の事情で、朝の活動に参加できなくなってしまったんです。なんかチームらしくなってきたな、と思っていた頃の出来事でした。チーム結成を決めたのはその時で、たとえメンバーが参加できなくなったり、忙しくなった時にも、チームを作って活動し続けようと思ったんです。彼だけに限らず、メンバー全員にそういう時期は必ず訪れるだろうから、みんなが「戻ってこれる場所」を作っておこうと。
チーム名については、シンプルにまず MIYAKE の MYK で MYKFC です。もう一つは KFC (ケンタッキーフライドチキン)の略称であるケンタと、チームを作るきっかけとなった仲間のケンタをかけています。またMYKFC は読み方を変えれば MY "K" FC となるのですが、「K」には一人一人が自分のチームだと思って、例えば自分にとって鍵(KEY)となってることや大切にしていることなど、各々それぞれの意味合いをつけてほしいと思っています。
Q : 日常とサッカーのバランスについて
A : 僕自身は、中学1年で始めたサッカーを高校1年で一度やめています。ですがそれ以降も地元の仲間と夜集まって蹴ったり、専門学校のときもフットサルをしたり、競技的なリーグやチームに属したことはありませんが、やるのもみるのも人生の中でサッカーにはかなりの時間を割いてきました。サッカーを嫌いにならずに丁度良い距離感でやってこれたのが、今もこうして続けられている理由かもしれません。
チーム内のコミットメントは高いです。世田谷公園の朝6時から8時ってめちゃくちゃ気持ちいいんですよ。試合に勝てば最高に気分のいい朝になります。メンバーの平均年齢は32,33歳ですが、基本みんな早起きで、朝の活動を終えたら、それぞれが仕事や子供の送迎に散っていく。参加率が高いというのはその時間をみんなが楽しいと思ってくれている証拠ですし、そう思ってくれていることが僕自身も嬉しいです。
Q : ご自身、もしくはチームにとって最も印象的な瞬間はいつでしたか。
A : ユニフォームを作ろうと言った時に、すぐに仲間が賛同してくれた瞬間です。ユニフォームを作って短期間で活動が終わることはないだろうし、みんなチームのことを長い目でみてくれているんだなと思えて嬉しかったです。ユニフォームについては、コロナ禍で集まれるか集まれないか、区がグラウンドを貸してくれるかどうかなど、つらい状況が続いた中で、メンバーが集まるきっかけになればと考えていました。そこがピッチ上でなくても、同じものを持っていることで繋がりは意識する。お揃いのものを身に着けることは、チームの一員なんだという認識が高まりますよね。
以前作った、チームコンセプトにもある「早起きは三文の徳」を英語で表現した、"the early bird catches the worm" のプリントTシャツがまさにそうでした。蹴れない時期もありますが、ユニフォームやTシャツを見るたび、早く蹴りたいなとか、みんなに会いたいなとか思うんです。だからユニフォームを作りたいと提案した時、みんなが賛同してくれたことは嬉しかった。否定的な意見があると大抵作らなくなるものですが、僕らは朝の時間をみんなが楽しみにしていることもあって、ユニフォーム?待ってました!って感じでしたよ。
早朝の世田谷公園で撮影した写真と、チームコンセプトである「早起きは三文の徳」を英語で表現した、"the early bird catches the worm" のプリントTシャツ
Q : ユニフォームについて、特にこだわった点、気に入ってる点があれば教えてください
A : サポートしてくれたチームメイトが関わってるブランドや、飲食店のロゴ。宣伝をしますというほど影響力はないにしても、自分がお世話になっているお店やブランドのことを多くの人に知ってもらいたいという想いや、常日頃の感謝をもってユニフォームにプリントさせてもらいました。これだけでデザイン性が高くなりますし箔がついた感じがします。両腕にはお世話になっているカレー屋のロゴが入ってますが、見てるだけでほのぼのしますよね(笑)
Q : ユニフォーム全体にプリントされている模様は?
A : この模様は世田谷区の紋章なんです。大抵の人は色が薄い部分に目がいきがちですが、薄いほうではなく濃いほう。僕たちの活動は世田谷公園でしか行っていないので、愛がすごくて(笑)GIONO DESIGN のデザイナーであるオサムさんと意見を出し合って、日頃の感謝も込めて、世田谷区の紋章を少しデザインしたものをパターン化しました。
Q : 多くの方との「TEAMWORK」をもって生まれたユニフォームだと思います。
A : 僕らの宣伝効果なんてどうってことないにもかかわらずユニフォームを作るんですよとなったときに、多くの方が快く賛同してくださいました。人と人との繋がりが、このユニフォームにもよく表れていると思います。うちのロゴを使ってもらって少しでもお店やブランドのことを知ってもらえるのであれば、全然つかっていいよ。むしろいれてくれるのって。優勝してね!って。優勝とかないんですけどね(笑)
コロナ禍になって、人と距離をとれと言われるようになったことで、一層ユニフォームを作る理由や、集まりたい理由が明確になりました。会えないからいいやじゃなくて、会えないけど会いたいよね。と言い合える仲間がいる幸せを日々感じています。
Q : チーム内で「TEAMWORK」を感じる瞬間はありますか。
A : 出場していない選手がしている選手よりも一喜一憂している瞬間。ピッチに立っている選手が喜んだり悲しんだりするのは当たり前かもしれませんが、ピッチに立っていない選手も一緒になって感情をさらけ出している時、チームワークを感じますし、いいチームだなと思います。
Q : チームはこれからどこへ向かっていきますか。MYKFC の「GOAL」について教えてください。
A : ミステリアスな部分を残しつつ、周りに気にしてもらえる存在でありたいです。最近よくみる MYKFC ってどういうチームなのとか、あのユニフォームの模様って何なのと。僕たちがやっていることはいわゆる「サッカー選手ごっこ」。小さい頃に夢見ていた、お揃いのユニフォームを着たいとか、大人になってもみんなで集まってサッカーをしたいとか、一番最初にサッカーをやり始めた時のサッカー楽しいな、ずっとサッカーやっていたいな。大人になった今でもそうした感覚を忘れずにやっているだけです。
始めることよりも続けることの方が難しい。周りから「よくそこまでやるね」「まだやってるんだ」などと言われることもありますが、僕の目には難しいことに挑戦をしている人はカッコよく映るんです。活動を続けることで、一人でも二人でも影響される人がいれば嬉しいし、俺らも同じことしようよ、みたいなチームが出てきてくれたらいいですね。そのためにはMYKFC が注目されること、目を惹く存在ではありたいなと思います。
Q : 今後の予定は?
A : 全員が大きな怪我なく、最高の朝を11月まで繰り返していければいいなと。それでまた来年の4月が待ち遠しくなれば十分です。去年の11月から4月までの丸5ヵ月は、各々それぞれのチームでしか身体を動かせず、あるチームメイトからは「早く4月になってほしい」ということを聞きました。活動を毎年続けていたら、みんながそう思ってくれるようになるはずだと考えています。
なので対戦相手へのリスペクトや関係性も大事にしながら、みんなが集まれる場所を引き続き作っていきたいです。大会に出たいとか、有名になりたいといった想いは特にないので、なるべく長くこの活動を続けることですね。
エンブレムの MMXX はローマ数字でチーム設立の2020年を表している。
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